ブロッコリーを切ったら、太い茎の真ん中に穴が空いていることがあります。生育中にできる空洞と、保存中の腐敗を分けて考え、周囲の硬さやにおいなど確認するポイントを整理します。
ブロッコリーの茎の空洞は、急激な生育などで起こる「ホローステム」という生理障害のことがあります。
高温、窒素過多、過湿などによる急成長や、ホウ素欠乏が発生要因として挙げられています。
「空洞=必ずホウ素不足」とは限りません。
ホウ素欠乏では茎の褐色斑点やコルク状の症状が出ることもあり、単純に穴だけで原因を一つに決めることはできません。
食べる判断では、穴の有無より周囲の状態を確認します。
腐敗臭、強いぬめり、カビ状の付着、溶けるような軟化や組織崩れがある場合は、単なるホローステムとは分けて考えます。
ブロッコリーの茎の穴は「ホローステム」という生理障害
ブロッコリーの太い茎を輪切りや縦切りにしたとき、中央部だけが空洞になっていることがあります。
農林水産省の高温対策資料では、この症状を「ホローステム(茎空洞症)」として、茎中央に空洞ができる生理障害と説明しています。
カリフォルニア大学の総合的病害虫管理プログラム(UC IPM)も、ブロッコリーやカリフラワーなどで、茎内部の髄組織(茎の中心部のやわらかい組織)がつぶれたり裂けたりし、空洞になる症状を「hollow stem」として整理しています。
つまり、穴は保存中に虫が内部を食べて作ったものとは限らず、生育中の組織形成によって生じることがあります。

「すが入った」ように見えるのが特徴
空洞の形はきれいな丸穴とは限らず、細長い割れ目、星形、不規則な縦穴のように見えることがあります。
外からは正常に見え、切って初めて内部の空洞へ気づくことも珍しくありません。
千葉県は、おいしいブロッコリーの選び方として「茎の切り口に空洞が入っていないもの」を挙げています。
これは空洞があるものを直ちに危険とする意味ではなく、食感や可食部の状態を含めた品質の目安として考えると分かりやすいでしょう。
茎そのものは食べられる部分
ブロッコリーの太い茎も可食部です。
環境省は、外側の硬い皮を必要に応じてむき、茎も無駄なく食べ切る方法を紹介しています。
なぜ空洞ができる?高温・窒素・水分と急成長
ホローステムは、ブロッコリーが急速に大きくなる条件で起こりやすいとされています。
農林水産省は、高温、窒素過多、過湿による急成長を発生要因として挙げています。
UC IPMでも、高温、高い窒素レベル、太い茎、広い株間などが空洞の発生と関連すると説明しています。
生育が勢いよく進む一方で、茎内部の髄組織が同じペースで形成されず、内部に亀裂や空間が残るイメージです。

肥料を多くすれば良いわけではない
ブロッコリーは生育に肥料を必要としますが、窒素が多過ぎれば品質障害につながる場合があります。
サカタのタネも、茎内部の空洞について窒素過多を要因の一つとして挙げ、適切な肥培管理(肥料や生育状態を調整する管理)と水分管理を案内しています。
家庭で購入する側から見れば、店頭の一本を見て「窒素が何g多かった」と判断することはできません。
空洞は栽培中に起きた結果として確認し、購入後の保存失敗だけが原因だと考えないことがポイントです。
水分の急な変化も生育へ影響する
JAあいち経済連は、生育初期〜中期の土壌乾燥や高温、窒素過剰などを内部空洞症状の発生要因として紹介しています。
一方、農林水産省の資料では過湿による急成長も挙げられており、単純に「水が多い」「水が少ない」の一言では整理できません。
大切なのは、植物が急激な生育へ傾く条件や、必要な養分をうまく吸収できない条件が重なることです。
生産現場では品種、気温、肥料、水分、植え付け密度などを組み合わせて発生を抑えます。
空洞=ホウ素欠乏とは限らない|似た症状を分けて考える
ブロッコリーの空洞を調べると、「ホウ素不足が原因」とだけ説明されていることがあります。
しかし、空洞があれば必ずホウ素欠乏と断定するのは正確ではありません。
農林水産省は、ホローステムの要因として急成長とホウ素欠乏の両方を掲載しています。
UC IPMも、急成長に関連するホローステムと、ホウ素欠乏を伴う場合の症状を分けて説明しています。
| 見るポイント | ホローステム | ホウ素欠乏を疑う材料 |
|---|---|---|
| 茎内部 | 中心の髄が裂けて空洞になる | 空洞に加えて内部の暗色化が出ることがある |
| 茎表面 | 外見上は目立たない場合もある | 亀裂・褐色斑点・かさぶた状の木化が出る場合がある |
| 発生要因 | 高温、窒素過多、急成長、株間など | 土壌中のホウ素不足や吸収しにくい条件 |
島根県の生理障害データベースでは、ブロッコリーのホウ素欠乏症として茎の亀裂やかさぶた状の木化が示されています。
JAあいち経済連も、ホウ素欠乏では主に茎の褐色斑点が出る一方、条件によって内部から花蕾(食べるつぼみの集まり)へ達する空洞が生じることもあると説明しています。
家庭では原因を一つに決めつけない
購入したブロッコリーの断面だけを見て、肥料や微量要素の状態を正確に診断することはできません。
家庭では「生理障害らしい空洞か」「腐敗やカビなど別の異常が重なっていないか」を分けて見る方が実用的です。
空洞があるブロッコリーは食べられる?傷みとの見分け方
生協の宅配サービス「パルシステム」は、ブロッコリーの茎は食べられ、穴が開いているものを届ける場合もあると案内しています。
食品宅配サービス「Oisix(オイシックス)」も、茎の割れや空洞は生育が旺盛な株で見られる自然な現象で、溶けや異臭などの傷みがなければ食べられると説明しています。
つまり、「穴がある」ことと「腐っている」ことは同じではありません。
ただし、空洞があるブロッコリーでも保存状態が悪ければ別に腐敗することはあるため、穴だけで安全性を決めないことが重要です。

空洞だけなら生理障害と考えやすい状態
- 茎の中心だけに空洞がある
- 空洞の周囲が硬く締まっている
- ブロッコリー本来のにおいで、腐敗臭がない
- ふわふわしたカビ状の付着物がない
- 表面や内部がどろどろに崩れていない
このような状態なら、空洞部分そのものを理由にブロッコリー全体を捨てる必要はありません。
空洞の縁が乾いて硬い、筋っぽさが気になる場合は、その部分を切り落として料理へ使うと食感を整えやすくなります。
使用を避けたい状態
一方、腐敗したような異臭、強いぬめり、ふわふわしたカビ状の付着、押すと崩れるほどの軟化、溶けたような組織がある場合は、単なるホローステムとは別に考えます。
「空洞は生理障害だから大丈夫」と、ほかの傷みサインまで無視しないでください。
また、ホウ素欠乏を伴う場合には空洞内部が暗く見えることもあるため、茶色いという一点だけで腐敗と断定することはできません。
一方で、異臭・ぬめり・カビ・水っぽい崩れが重なる場合は、生理障害とは別の傷みとして判断します。
買うとき・調理するときはどうすればいい?
店頭で茎の切り口が見えるなら、空洞がなく、切り口がみずみずしいものを選ぶと茎まで使いやすくなります。
千葉県やキユーピーも、茎の切り口に空洞がないことを購入時の目安として紹介しています。
ただし、空洞があるブロッコリーをすでに買ったからといって、即座に失敗品と考える必要はありません。
花蕾や茎全体の状態を確認し、傷みがなければ料理に合わせて空洞周辺を整えて使えます。
茎は外側の硬い部分をむくと使いやすい
太い茎の外側は繊維が硬くなりやすいため、ピーラーや包丁で厚い皮をむき、内側のやわらかい部分を使います。
環境省は、茎を縦半分にして黄緑と白い部分の境目を確認し、その境目に沿って皮をむく方法を紹介しています。
空洞がある場合は縦に切ると、穴の深さや周囲の状態を確認しやすくなります。
硬く健全な部分は薄切り、短冊切り、スープ、炒め物などに使うと無駄がありません。
加熱するときは花蕾と太い茎で火の通り方が違うため、茎だけ少し薄めに切ると仕上がりをそろえやすくなります。
空洞のある部分も、周囲が健全なら料理に合わせて切り分け、食感が硬いところだけ除くと使いやすくなります。
「選ぶなら空洞なし」「買った後なら状態確認」
売り場で複数から選べるなら、茎の切り口が詰まり、みずみずしいものが扱いやすいです。
一方、購入後に空洞へ気づいた場合は、空洞だけで廃棄せず、におい・硬さ・カビ・ぬめりまで確認して判断します。
関連する疑問:「ブロッコリーの茎はどこまで食べられる?硬い皮の見分け方と切り方」、「ブロッコリーが黄色いのは食べられる?開花・鮮度低下と腐敗の違い」
ブロッコリーの茎の空洞についてよくある疑問
茎に穴があるブロッコリーは食べても大丈夫?
空洞があるだけで、茎の周囲が硬く、異臭・強いぬめり・カビ・組織崩れなどがなければ、ホローステムという生理障害の可能性があります。パルシステムやOisixも、空洞がある茎でも傷みがなければ食べられると案内しています。
空洞は虫が食べた跡ですか?
ホローステムの場合は虫食いではありません。高温・窒素過多・急成長などの条件で茎内部の髄が割れ、空洞ができる生理障害です。
空洞があれば必ずホウ素不足ですか?
必ずではありません。農林水産省は、高温や窒素過多、過湿による急成長とホウ素欠乏の両方を要因として整理しています。空洞だけで原因を一つに断定しない方が正確です。
空洞の内側が少し茶色い場合は腐っていますか?
色だけでは断定できません。ホウ素欠乏や収穫後の変化でも暗色化することがあります。腐敗臭、強いぬめり、カビ、溶けるような軟化などが重なっていないか確認してください。
空洞がある茎は捨てたほうがいい?
傷みがなければ、茎全体を捨てる必要はありません。空洞周辺が乾いて硬い、筋っぽいなど食感が気になる部分だけ整え、残りを薄切りやスープ、炒め物などへ使えます。
まとめ|ブロッコリーの茎の穴は「空洞」と「傷み」を分けて見る
ブロッコリーの茎に穴があると驚きますが、代表的な原因の一つがホローステム(茎空洞症)です。
高温・窒素過多・過湿などによる急成長やホウ素欠乏で、茎中央に空洞ができることがあります。
空洞そのものは病原菌による腐敗と同じではなく、周囲が硬く異臭などがなければ利用できる場合があります。
一方、異臭・強いぬめり・カビ・溶けるような軟化などがある場合は、空洞とは別の傷みとして使用を避けます。
選ぶときは空洞がなく切り口のみずみずしいものが扱いやすいですが、購入後に穴へ気づいても慌てる必要はありません。
「穴があるか」だけでなく、「その周囲が正常か」を見ることが、無駄なく安全に使うためのポイントです。
参考・確認先
- 農林水産省「野菜の高温対策」ブロッコリー・ホローステム
- JAあいち経済連「作物の生理障害図鑑」ブロッコリー内部空洞症状
- サカタのタネ「ブロッコリー 茎の中に穴が空く原因」
- 島根県農業技術センター「キャベツ・ブロッコリー ホウ素欠乏症」
- 千葉県「旬鮮図鑑 ブロッコリー」
- カリフォルニア大学 総合的病害虫管理プログラム(UC IPM)「Hollow Stem of Cole Crops(アブラナ科作物の茎空洞症)」
- パルシステム「ブロッコリーの茎も食べられますか?」
- Oisix(オイシックス)「ブロッコリーの茎に割れや空洞があります」
- 環境省 ecojin「捨ててしまいがちなブロッコリーの茎」
空洞の見え方や原因には栽培条件・品種による差があるため、断面だけで原因を一つに決めず整理しています。












