鶏むね肉を買ったとき、表面に白い線が何本も走っていて「脂?」「筋?」「傷んでいるの?」と気になることがあります。
こうした筋肉の流れに沿う白い線は、「ホワイトストライピング(White Striping)」と呼ばれる肉質上の変化であることがあります。
ホワイトストライピングは、鶏むね肉の筋繊維に沿って白い線状の部分が目立つ状態です。
University of Georgia Extensionでは、程度が強い鶏むね肉は白い筋が少ない肉より加熱後に硬くなりやすく、脂肪量も高くなる傾向があると説明されています。
ただし、白い筋が見えること自体と、腐敗・食中毒は同じ問題ではありません。
USDA FSISでは、活動性の炎症を伴わない「White Striping」のみの変化は、食品安全上ではなく品質上の問題として扱われています。
鶏むね肉の筋繊維に沿って白い線が何本も走る場合、「ホワイトストライピング」と呼ばれる成長関連の筋肉変化のことがあります。
研究では、筋線維の変性・再生、脂肪や結合組織の増加などが確認されており、程度が強い肉では保水性・加熱後の食感・栄養組成が変わる場合があります。
白い筋そのものは寄生虫や腐敗のサインではありません。
ただし、食中毒菌がいない証拠にもならないため、生の鶏肉は中心まで十分に加熱します。
鶏むね肉の白い筋の正体は?

筋繊維に沿って走る白い線
ホワイトストライピングは、鶏の胸の大きな筋肉である大胸筋に、白い線が筋繊維と同じ方向へ平行に走って見える状態です。
線は細いものから太くはっきりしたものまであり、程度によって見え方がかなり違います。
研究では、ホワイトストライピングが見られる鶏むね肉で、筋組織の変化に加え、脂肪や結合組織が増えていることが報告されています。
そのため、白い線は単に表面へ脂が付いているだけではなく、筋肉内部の変化が線状に見えているものと考えられます。
白い筋=寄生虫ではない
白い線が何本も見えると寄生虫のように感じることがありますが、ホワイトストライピングは鶏むね肉の筋組織に起こる変化です。
筋肉の流れに沿って規則的・平行に白い線が見えるのがひとつの特徴です。
なぜ白い筋ができるの?

短期間で高い体重まで成長する鶏で多い傾向
University of Georgia Extensionは、ホワイトストライピングについて、短期間で高い体重まで成長したブロイラーで特に多く見られるとしています。
現代の肉用鶏で見られる速い成長や大きな胸筋との関連が指摘されています。
ただし「早く育ったから必ず白い筋になる」と単純化はできません。
成長速度や体重との関連は確認されていますが、ホワイトストライピングが発生する詳しい仕組みには研究が続いている部分があります。
筋肉内部の組織が変化する
ホワイトストライピングは表面へ脂肪が付いているだけではなく、顕微鏡レベルでは筋線維の変性・再生、脂肪化、線維化などが報告されています。
そのため、単純に「脂身を包丁で取れば通常肉へ戻る」という状態ではありません。
研究では、ホワイトストライピングを伴う胸肉で、筋線維の変性、脂肪量やコラーゲン量の増加などが報告されています。
これらの変化が、肉の表面から見える白い線や、加熱後の食感・保水性などへ影響すると考えられています。
普通の筋・脂肪との違いは?

普通の脂肪は点状・不規則なことが多い
鶏むね肉にも脂肪や結合組織はあり、端や表面に白い部分が付いていること自体は珍しくありません。
通常の脂肪は、一部分にまとまっていたり、点状・不規則に見えたりします。
ホワイトストライピングは線状・平行に見える
ホワイトストライピングでは、白い部分が筋繊維の方向に沿って何本も平行に走るように見えるのが特徴です。
程度が強くなるほど線が太く、数も多く、見た目にはっきりしやすくなります。
家庭では厳密に分類する必要はありません。
「白い線だけなら傷みとは限らない」「異臭やぬめりなど別の異常がないかを見る」という判断が実用的です。
ホワイトストライピングは食べても大丈夫?

USDA FSISの検査指針では、活動性の炎症を示さない胸筋の変化、たとえばWhite Stripingのみの場合は品質上の問題とされています。
白い筋があるという理由だけで、食品安全上食べられない肉になるわけではありません。
白い筋だけなら食べられることが多い状態
● 筋肉に沿って白い線が見えるだけ
● 鶏肉本来のにおいで、強い異臭がない
● 表面に強いぬめり・粘りがない
● 明らかな黄緑・灰色などへの異常変色がない
● 適切に冷蔵され、消費期限・保存履歴に問題がない
次のような状態はホワイトストライピングとは別問題です。
- 酸っぱい、腐敗したような強い異臭がする
- 表面がぬるぬるしている、強くべたつく
- 黄緑色・灰色など明らかに不自然な変色が広がっている
- 長時間常温へ放置した
- 保存温度・購入日・消費期限などが分からない
生の鶏肉の色には幅があり、色だけで安全性を判断することはできません。
強い異臭やぬめりなど明確な傷みのサインがある場合は、「加熱すれば大丈夫」と考えず処分してください。
白い筋が多いと味・栄養・食感は変わる?
脂肪量が増える傾向
研究によって数値は異なりますが、重度になるほど脂質増加やたんぱく質低下が観察される報告があります。
ただし、日常の食事で「白い筋が1本あるから栄養的に大きな問題」と判断するほど単純ではありません。
University of Georgia Extensionでは、程度の強いホワイトストライピングがある鶏むね肉は、白い筋が少ない肉より脂肪量が高いと説明されています。
研究でも、ホワイトストライピングを伴う肉では筋肉内脂肪の増加が確認されています。
ただし、白い筋が少しあるだけで栄養価がまったく別物になるわけではありません。
線が多く程度が強いほど、脂肪量やたんぱく質量などの組成差が大きくなる傾向として理解するとよいでしょう。
加熱すると硬さを感じることがある
硬さだけでなく、加熱時の水分損失や加工適性へ影響する研究もあります。
調理では厚みをそろえ、過加熱を避けながらも安全に必要な中心温度・時間を満たすことがポイントです。
UGA Extensionは、重度のホワイトストライピングがある胸肉では、加熱後の肉がより硬くなると説明しています。
白い筋が多い肉は「危険」なのではなく、「通常の鶏むね肉と食感や品質が少し異なることがある」という理解が適切です。
白い筋が多い鶏むね肉をおいしく調理するコツ

そぎ切りで厚みをそろえる
鶏むね肉を厚いまま焼くと、中心まで火を通す間に表面が硬くなりやすくなります。
そぎ切りにして厚みをそろえると、短時間で均一に加熱しやすくなります。
下味・漬け込みを活用する
塩、酒、ヨーグルト、調味液など、料理に合った下味を利用すると食べやすくなります。
ただし、下味を付けても食中毒菌が安全になるわけではありません。
中心までしっかり加熱する
白い筋があるかどうかに関係なく、生の鶏肉にはカンピロバクターやサルモネラ属菌などの食中毒菌が付着している可能性があります。
厚生労働省は、鶏肉を含む食肉について中心部75℃以上で1分間以上を目安に十分加熱するよう案内しています。
USDAの基準では鶏肉は165°F(約74℃)が安全な最低中心温度です。
家庭では日本の厚生労働省の「75℃・1分以上」を目安に、中心温度計を使うとより確実です。
十分加熱しても薄いピンク色が残る場合の判断は「鶏肉が焼いても赤い・ピンクなのは大丈夫?」で解説しています。
購入後は早めに冷蔵・使用する
生の鶏肉は購入後すぐに冷蔵し、商品に表示された保存方法と消費期限を守ります。
USDAでは、生の鶏肉は4.4℃以下の冷蔵で1〜2日を一般的な保存目安としています。
すぐ使わない場合は早めに冷凍します。
白い筋があるから保存期間が短くなるというより、鶏肉として通常どおり低温管理を徹底することが重要です。
生の鶏肉を水洗いしてはいけない理由は「鶏肉を洗ってはいけない理由」も確認してください。
よくある疑問
白い筋は脂肪ですか?
筋肉組織の変化が関係しており、研究では脂肪や結合組織の増加も確認されています。単に表面へ脂肪が付着しているだけではありません。
ホワイトストライピングは病気の鶏ですか?
肉用鶏の胸筋に見られる筋肉の異常・肉質変化として研究されています。FSISでは、活動性の炎症を伴わないWhite Stripingのみの状態は品質上の問題として扱っています。
白い筋が多い鶏肉は硬いですか?
UGA Extensionでは、重度のホワイトストライピングがある肉は加熱後により硬くなると説明されています。
白い筋が黄色や緑色なら同じものですか?
典型的なホワイトストライピングは白い線として見えます。黄緑や灰色など不自然な変色が広がり、異臭やぬめりもある場合は傷みを疑い、使用を避けてください。
新鮮な鶏むね肉なら加熱を弱くしても大丈夫?
いいえ。厚生労働省は「新鮮だから安全ではない」と注意喚起しています。中心部75℃以上で1分間以上を目安にしっかり加熱してください。
まとめ
鶏むね肉に筋繊維と平行な白い線が何本も見える場合は、ホワイトストライピングと呼ばれる肉質上の変化であることがあります。
白い筋だけならすぐに傷みとは判断せず、主に品質・食感・脂肪量の違いとして考えるのが適切です。
- ホワイトストライピングは鶏むね肉の筋肉に沿う白い線として現れる
- 短期間で高体重まで成長するブロイラーで多い傾向が報告されている
- 程度が強い肉では脂肪量が増え、加熱後に硬くなる傾向がある
- White Stripingのみで炎症を伴わない場合は品質上の問題として扱われる
- 異臭・ぬめり・明らかな異常変色がある場合は傷みを疑う
- 白い筋の有無に関係なく、生の鶏肉は中心まで十分に加熱する
見慣れない白い筋があると不安になりますが、「白い筋そのもの」と「腐敗のサイン」を分けて確認すると判断しやすくなります。
参考・確認先
編集・確認:食のハッケン帳編集部
情報確認日:2026年9月1日
この記事の確認について
ホワイトストライピングが鶏胸筋の筋線維に平行して白い線が現れる成長関連筋障害であること、脂肪・結合組織増加や肉質変化が研究されていること、通常は腐敗や寄生虫を意味せず食品安全上の主問題ではないことを確認しています。
- University of Georgia Extension「White Striping in Broiler Breast Meat」
- Poultry Science / PMC「Monitoring of white striping and wooden breast cases」
- Foods / PMC「Nutritional Composition, Technological Quality…」
- 厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防についてQ&A」
※白い筋の有無とカンピロバクター等の食中毒リスクは別です。生の鶏肉は見た目に関係なく十分加熱します。












