鶏むね肉とささみは、どちらも脂質が少なめで、たんぱく質を取り入れやすい鶏肉の部位です。売り場では別々の商品として並んでいますが、どちらも鶏の胸まわりから取られます。
大きな違いは、部位の位置と形、皮の有無、料理での扱いやすさです。
むね肉は大きな一枚肉として主菜へ使いやすく、ささみは胸骨に沿った細長い部位で、ほぐしたり細切りにしたりする料理へ向きます。
この記事では、むね肉とささみの部位、食感、栄養成分、料理での使い分け、パサつきを抑える加熱方法まで分かりやすく整理します。
ささみは鶏むね肉のすぐ内側にある細長い筋肉で、むね肉とは別に切り分けられる部位です。
文部科学省の食品成分表では、生100gあたり、若どりのむね・皮なしは105kcal、たんぱく質23.3g、脂質1.9g。
ささみは98kcal、たんぱく質23.9g、脂質0.8gです。
どちらも高たんぱく・低脂質ですが、数値差は大きくありません。
「ダイエットなら必ずささみ」と決めるより、皮の有無・調理法・食べる量まで含めて選びます。
鶏むね肉とささみの違いを比較
むね肉とささみはどちらも胸まわりの肉ですが、形と商品としての扱われ方が異なります。
| 比較項目 | 鶏むね肉 | ささみ |
|---|---|---|
| 位置 | 胸の外側を覆う大きな筋肉 | むね肉の内側で胸骨に沿う細長い筋肉 |
| 形 | 厚みのある大きな一枚肉 | 笹の葉に似た細長い形 |
| 皮 | 皮付き・皮なしがある | 通常は皮なし |
| 味わい | 淡白ながら、ささみよりコクを感じやすい | よりあっさりして淡白 |
| 食感 | 厚みがあり、切り方で食べ応えを調整しやすい | 繊維に沿ってほぐしやすい |
| 下処理 | 厚さをそろえる、皮を外す場合がある | 中央の筋を取る場合がある |
| 主な用途 | ソテー、照り焼き、カツ、炒め物 | サラダ、和え物、蒸し鶏、スティック揚げ |
ささみは、むね肉と無関係な別の場所にある肉ではありません。
胸骨に沿って付いているむね肉の一部で、左右に1本ずつ取れる細長い部位です。スーパーでは独立した商品として販売されるため、別部位のように見えます。
部位・食感と見た目の違い
むね肉は胸部の大きな筋肉で、ささみはその内側に付く細長い筋肉です。
英語ではむね肉を breast、ささみを tender / tenderloin と呼ぶことがあり、ささみは左右1本ずつ取れる小さな部位です。
むね肉は、鶏の胸の表面を広く覆う大きな筋肉です。左右に一枚ずつあり、厚みのある大きなかたまりとして販売されます。
ささみは、むね肉の内側にあり、胸骨に沿って付いている細長い筋肉です。英語では「tender」や「tenderloin」と表されることがあります。

形が違うため使い方も変わる
むね肉は面積と厚みがあるため、一枚のまま焼く、開いて巻く、そぎ切りにする、角切りにするなど、料理に合わせて形を変えられます。
ささみは一本ずつが細長く、加熱後に手でほぐしやすい形です。サラダや和え物では繊維に沿って裂き、フライや唐揚げでは棒状のまま使えます。
ささみの名前の由来
ささみは、細長く先がとがった形が笹の葉に似ていることから、その名前が付いたとされます。
パックの中では中央に白く硬い筋が見えることがあります。筋は食べられないものではありませんが、加熱後に硬く縮みやすいため、料理によっては取り除きます。
食感と味わいの違い
むね肉もささみもクセが少なく、淡白な味わいです。ただし、厚さ、皮、筋の有無によって食べたときの印象が変わります。

むね肉の食感と味わい
むね肉は一枚が大きく、厚みがあるため、切り方によって食べ応えを調整しやすい部位です。
皮付きでは皮の脂と香ばしさが加わり、皮なしではよりさっぱりした仕上がりになります。
加熱し過ぎると筋繊維から水分が抜けてパサつきやすいため、厚さと加熱時間をそろえることが重要です。
ささみの食感と味わい
ささみはむね肉より脂質が少なく、よりあっさりした味わいです。繊維が同じ方向へ走っているため、加熱後はほぐしやすく、ドレッシングやたれとも合わせやすくなります。
細い部位なので火が通りやすい一方、長く加熱すると急速に水分を失います。一本の太さを確認し、必要以上に加熱し続けないようにします。
栄養・脂質と皮付きむね肉の違い
食品成分表の生100g値で比べると、皮なしむね肉とささみのたんぱく質量は非常に近く、差は0.6g程度です。
脂質はささみのほうが低い一方、むね肉も皮なしなら十分に低脂質です。
皮付きむね肉では脂質・エネルギーが大きく増えるため、「むね肉とささみ」の違いより、皮を付けたまま食べるかの影響が大きくなる場合があります。
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年に掲載された、若鶏の生肉・可食部100g当たりの数値を比較すると、次のようになります。
| 100g当たり | むね・皮なし・生 | ささみ・生 |
|---|---|---|
| エネルギー | 105kcal | 98kcal |
| たんぱく質 | 23.3g | 23.9g |
| 脂質 | 1.9g | 0.8g |
| 炭水化物 | 0.1g | 0.1g |
ささみは脂質がより少なく、皮なしむね肉も十分に低脂質です。
100g当たりの差はありますが、たんぱく質量は近いため、栄養面だけで一方を絶対的に優れていると考えるより、料理、価格、食べやすさで選ぶと実用的です。
調理後の数値は変わる
焼く、ゆでる、揚げるなどの調理によって水分量と重量が変わるため、100g当たりの栄養成分も変化します。
揚げ物では衣と油が加わり、サラダではドレッシング、照り焼きでは砂糖やたれが加わります。
料理全体のエネルギーや脂質を考える場合は、肉だけでなく調味料と調理油も含めて確認します。
皮付きむね肉と皮なしむね肉の違い
むね肉は、皮付きの状態で販売されることが多く、料理や目的に応じて皮を残すか外すかを選べます。
皮を残す場合
皮を焼くと香ばしさとコクが加わり、表面の水分が失われにくくなります。チキンソテーや照り焼きなど、皮の食感を生かす主菜に向きます。
皮を外す場合
皮を外すと脂質を抑えやすく、蒸し鶏、サラダ、スープなどへ使いやすくなります。
ただし、皮を外しただけで加熱によるパサつきが防げるわけではありません。厚さをそろえ、過加熱を避けることが必要です。
栄養成分を比べるときは皮の有無をそろえる
「むね肉」とだけ書かれた数値には、皮付き・皮なし、生・調理後など異なる条件があります。ささみと比べる場合は、皮なし・生など条件をそろえて確認してください。
料理での使い分けと代用

むね肉が向いている料理
- チキンソテー
- 照り焼き
- チキンカツ
- 鶏ハム・蒸し鶏
- 炒め物
- 大きめの唐揚げ
むね肉は一枚が大きいため、主菜の形を作りやすく、人数分へ切り分けやすいのが利点です。
そぎ切りにして厚さをそろえると火の通りが均一になり、片栗粉や小麦粉を薄くまぶすと、表面の口当たりをなめらかにしやすくなります。
ささみが向いている料理
- 棒棒鶏やサラダ
- 梅肉・ごま・ポン酢を使う和え物
- 蒸し料理・ゆで料理
- スティックフライ
- 細切り炒め
- スープの具
ささみは加熱後にほぐしやすく、少量ずつ副菜へ加える料理に便利です。
一本のままフライや焼き物へ使うこともできますが、筋が残っていると反り返ったり硬さを感じたりするため、必要に応じて筋を取ります。
むね肉とささみは代用できる?
味わいが近いため、多くの料理で相互に代用できます。ただし、形、厚さ、火の通る速さが異なるため、切り方と加熱時間を調整します。
| 料理 | 代用のしやすさ | 調整するポイント |
|---|---|---|
| サラダ・和え物 | 代用しやすい | むね肉は細く裂くか細切りにする |
| 蒸し鶏・ゆで鶏 | 代用しやすい | 厚さと加熱時間を変える |
| 炒め物 | 代用しやすい | 同じ厚さへ切りそろえる |
| 一枚肉のソテー | ささみでは別の仕上がり | ささみは複数本を使うか別料理にする |
| スティックフライ | 代用可能 | むね肉を棒状に切る |
| 鶏ハム | むね肉が使いやすい | ささみでは細く小さな仕上がりになる |
代用では重量より厚さを確認
同じ100gでも、厚いむね肉と細いささみでは中心まで熱が届く時間が異なります。レシピの分数をそのまま使わず、肉の最も厚い部分を基準に加熱してください。
調理・下処理と安全な加熱
むね肉とささみは脂質が少ないため、加熱し過ぎると水分が抜け、硬くパサつきやすくなります。
厚さをそろえる
むね肉は厚い部分を開く、そぎ切りにする、麺棒などで軽く均一にする方法があります。
ささみも太い部分と細い先端では火の通りが異なります。一本のまま使う場合は、細い部分を折り込むなど、厚さをそろえるレシピもあります。
粉を薄くまぶす
片栗粉や小麦粉を薄くまぶすと、表面へ膜ができ、たれが絡みやすくなります。
粉が肉の内部を直接やわらかくするわけではありませんが、表面の水分を保ち、なめらかな口当たりに感じさせることがあります。
加熱し過ぎない
火が通った後も高温で加熱を続けると、筋繊維から水分が失われます。
短時間で仕上げる料理では、厚さ、火力、加熱後の余熱を含めて調整します。ただし、やわらかさを優先して加熱不足にしてはいけません。
ささみの筋は取るべき?
ささみには、中央に白く硬い筋が付いていることがあります。筋は食べても問題ありませんが、加熱すると縮み、肉が反ったり、口に残ったりすることがあります。
筋を取ったほうがよい料理
- 棒状のまま揚げる料理
- 形をまっすぐ保ちたい焼き物
- なめらかな口当たりを重視する和え物
必ず完全に取る必要はない
加熱後に細かくほぐす料理や、筋が気にならない場合は、無理に完全除去する必要はありません。
強く引っ張ると肉が崩れやすいため、包丁やフォークなどを使う場合は、手元を安定させて作業します。
迷ったときの選び方

| 重視したいこと | 選びやすい部位 | 理由 |
|---|---|---|
| 一枚で主菜を作りたい | むね肉 | 大きく、焼く・揚げる・開くなど加工しやすい |
| 脂質をより抑えたい | ささみ | 皮なしむね肉より脂質が少ない |
| サラダや副菜へ使いたい | ささみ | 細く、加熱後にほぐしやすい |
| 切り方を自由に変えたい | むね肉 | 一枚が大きく、そぎ切り・角切り・細切りにできる |
| 皮の香ばしさを生かしたい | 皮付きむね肉 | 皮を焼いて食感とコクを加えられる |
| 筋取りを省きたい | むね肉 | ささみにある太い筋の処理が不要 |
価格は販売店、地域、容量、銘柄によって変わります。購入時は100g当たりの価格と、皮・筋などを除いた後に使える量も含めて比較します。
鶏肉を安全に食べるための注意
むね肉・ささみのどちらにも、カンピロバクターなど食中毒菌が付着している可能性があります。
部位の脂質量や新鮮そうな色とは関係なく、加熱用の鶏肉は中心まで十分に加熱し、生肉を洗って周囲へ飛沫を広げないようにします。
鶏肉は、むね肉・ささみのどちらであっても、生や加熱不十分な状態では食べないでください。
農林水産省は、鶏肉を中心まで75℃以上で1分以上加熱するよう案内しています。これはフライパンやオーブンの設定温度ではなく、最も厚い部分の中心温度です。
色だけで加熱状態を判断しない
肉の色は、厚さ、調味料、加熱方法などでも変わります。厚いむね肉や重なった肉は中心温度を確認し、生肉に触れた包丁・まな板・トングを加熱後の食品へ使い回さないでください。
鶏肉を洗ってはいけない理由は「鶏肉を洗ってはいけない理由」で解説しています。
加熱後にピンク色が残る場合の判断は「鶏肉が焼いても赤い・ピンクなのは大丈夫?」も参考になります。
よくある疑問
ささみは鶏むね肉の一部ですか?
はい。ささみは、むね肉の内側で胸骨に沿って付いている細長い筋肉です。売り場では独立した部位として販売されますが、鶏の胸まわりから取られます。
むね肉とささみではどちらが高たんぱくですか?
日本食品標準成分表の生肉100g当たりでは、皮なしむね肉が23.3g、ささみが23.9gで、ささみがわずかに多い数値です。ただし差は小さく、どちらもたんぱく質を多く含みます。
脂質が少ないのはどちらですか?
生肉100g当たりでは、ささみ0.8g、皮なしむね肉1.9gで、ささみのほうが少ない数値です。むね肉は皮付きか皮なしかによって脂質量が大きく変わるため、表示条件をそろえて比較してください。
むね肉をささみの代わりに使えますか?
サラダ、和え物、蒸し鶏、炒め物などでは代用できます。むね肉を細く切るか、加熱後に裂いて使います。むね肉のほうが厚いため、中心まで火が通る時間を調整してください。
ささみの筋は食べられますか?
食べられますが、加熱後に硬く縮み、口へ残ることがあります。形や口当たりを重視する料理では取り除き、ほぐして使う料理では気にならなければ残しても構いません。
まとめ
- むね肉とささみは、どちらも鶏の胸まわりから取れる
- むね肉は胸の大きな筋肉で、一枚肉の主菜へ使いやすい
- ささみは胸骨に沿う細長い筋肉で、ほぐして使いやすい
- 皮なしむね肉とささみは、どちらも高たんぱくで低脂質
- 生肉100g当たりでは、ささみのほうが脂質は少ない
- 皮付きむね肉はコクと香ばしさを加えやすい
- 料理によって相互代用できるが、厚さと加熱時間を調整する
- パサつきを防ぐには、厚さをそろえて過加熱を避ける
- ささみの筋は食べられるが、料理によっては取り除く
- 鶏肉は中心まで75℃以上で1分以上を目安に加熱する
一枚で主菜を作る、切り方を自由に変えるならむね肉が便利です。
脂質をより抑えたい、細くほぐしてサラダや副菜へ使いたい場合はささみが向いています。
どちらが上というより、料理の形と食べ方に合わせて選びましょう。
参考・確認先
編集・確認:食のハッケン帳編集部
情報確認日:2026年9月1日
この記事の確認について
ささみがむね肉の内側にある小胸筋に相当する部位であること、食品成分表(八訂増補2023年)で若どり皮なしむね肉100gあたり105kcal・たんぱく質23.3g・脂質1.9g、ささみ100gあたり98kcal・23.9g・0.8gであることを確認しています。












