エビの殻をむくと、背中に沿って黒色や茶色の細い線が見えることがあります。
「これは血管?」「食べたら危険?」「小さなエビまで全部取る必要がある?」と迷う人も少なくありません。
この黒い線は、一般に背わたと呼ばれますが、血管ではなくエビの消化管です。
食べた餌や砂などが残っていると黒く見え、内容物が少ない場合は透明に近く、ほとんど目立たないこともあります。
背わたを残したことだけで、直ちに食べられなくなるわけではありません。適切に加熱すれば、安全性のために必ず取り除かなければならない部分とは限りません。
ただし、背わたの中身によっては、砂のようなじゃりっとした食感、苦み、生臭さ、見た目の黒さが料理へ残る場合があります。
大きなエビ、背わたが濃く目立つエビ、天ぷらやエビチリなど見た目と食感を整えたい料理では、調理前に取るのがおすすめです。
エビの背中にある黒い「背わた」は血管ではなく、消化管です。
中に餌・砂・消化物などが残ると黒く見えます。
背わたは毒ではなく、適切に加熱したエビでは、残っていたから直ちに危険というものではありません。
ただし、大きなエビで黒く太い背わたがあると、砂っぽい食感・苦味・見た目の悪さにつながるため、料理の品質を整える目的で取ることが一般的です。
背わたを取ったから生食できるわけではありません。
加熱用として販売されたエビは、背わたの有無に関係なく中心まで十分に加熱します。

エビの背わたは「血管」ではなく消化管
背わたは、エビの背中側を頭から尾へ通る消化管です。
英語でも一般に「vein」と呼ばれますが、実際には血液が流れる静脈ではありません。
米国の協同普及機関であるN.C. Cooperative Extensionも、背中の黒い線はエビの消化管であると説明しています。
黒い色は中に残った餌や砂など
消化管の中に食べたものや細かな砂、泥などが残っていると、黒色、灰色、茶色の線として見えます。
内容物が少ないエビでは、背わたが透明または薄い色で、ほとんど見えない場合があります。
エビの鮮度だけで濃さは決まらない
背わたが黒いから古い、透明だから新鮮とは限りません。
エビが食べていたもの、漁獲された場所、個体差、消化管の内容量などによって見え方が変わります。
黒い線は寄生虫ではない
背中へ沿って一定の位置に伸びる黒い線は、通常は消化管です。身の中で独立して動く糸状物や、不自然な白いかたまりとは見分けてください。
背わたは食べても大丈夫?安全性より食感・見た目で取ることが多い
背わたは毒ではない
N.C. Cooperative Extensionは、背わたがエビの消化管であり、適切に加熱されたエビでは背わたを食べること自体は大きな食品安全上の問題ではないとしています。
大きく黒い背わたは取ると食感がよくなる
背わたの中には砂や消化物が残る場合があるため、大きなエビでは口に入れたときにジャリッとした食感を感じることがあります。
見た目をきれいにし、食感・苦味を減らす目的で除去します。
透明で目立たない場合は料理に合わせて判断
小型のエビや、背わたがほとんど見えないものまで、一匹ずつ身を崩して探す必要はありません。
商品に「背わた処理済み」と表示されている場合は、そのまま下処理を進められます。
背わたを取ったほうがよい場合
- エビが大きく、背わたが太く濃い
- 黒い線が身の表面からはっきり見える
- 砂や泥が残りやすい天然エビを使う
- 天ぷら、エビフライ、エビチリなど見た目を整えたい
- 寿司、サラダ、前菜など身を大きく見せる料理
- じゃりっとした食感や苦みを避けたい
小エビは料理に合わせて判断
むきエビや小エビでも、背わたが黒く目立つ場合は取ると口当たりが整います。
一方、チャーハン、かき揚げ、スープなどへ小さく使い、背わたが透明で目立たない場合は、無理に一匹ずつ取らなくても構いません。
市販の「背わた処理済み」は表示を確認
冷凍むきエビには、「背わた除去済み」「下処理済み」「deveined」などと表示された商品があります。
ただし、小さな切れ端や薄い線が残る場合もあるため、解凍後に目視で確認します。
背わたの取り方|殻なし・殻付きで使い分ける

背中へ浅い切り込みを入れる
- 殻をむき、エビの背を上へ向ける
- 頭側から尾側へ、背中へ浅く切り込みを入れる
- 黒い線を包丁の先、竹串、爪楊枝で持ち上げる
- 途中で切れないよう、ゆっくり引き抜く
- 表面を流水で短時間すすぎ、水気を拭く
切り込みが深過ぎると、身が開き過ぎて食感が変わります。背わたが見える程度の浅さにします。
竹串や爪楊枝で引き抜く
切り込みを大きく入れたくない場合は、殻をむいたエビの背の節へ竹串を差し込みます。
背わたの下をすくうように持ち上げ、指でつまんでゆっくり引き抜きます。
背開きは味が絡みやすい
エビチリ、炒め物、ガーリックシュリンプなどでは、背中を少し開くと調味料が絡みやすくなります。
一方、ゆでエビや寿司など形を保ちたい料理では、竹串で抜く方法が向いています。
殻付きエビの背わたを取る方法
節の間から竹串を入れる
殻付きのまま使う場合は、頭から2~3節目の殻のすき間へ竹串を差し込みます。
背わたを引っ掛けて持ち上げ、指でつまみ、尾の方向へゆっくり引き抜きます。
頭を外した部分から引く
有頭エビの頭を外す料理では、頭を取った断面から背わたの端が見える場合があります。
端をつまみ、エビをまっすぐに保ちながらゆっくり引くと、殻付きのまま抜けることがあります。
殻付き調理では無理に身を傷つけない
殻焼きや塩焼きでは、背わたを取ろうとして身を深く傷つけると、焼いたときに水分が抜けやすくなります。
背わたが細く目立たない場合は、形を優先して残す選択もできます。
背わたが途中で切れたときの対処

別の節から取り直す
背わたが途中で切れた場合は、残っている位置の近くへ竹串を入れ、もう一度持ち上げます。
尾側に短く残った程度なら、浅い切り込みを入れて包丁の先で取り除けます。
流水で強く洗い過ぎない
切れた背わたを落とすために長く水へ浸すと、身が水っぽくなります。
必要な部分だけを短時間すすぎ、キッチンペーパーで水気をしっかり拭きます。
完全に取れなくても加熱を優先する
細い背わたが少し残ったからといって、身を深く切り崩す必要はありません。
加熱用のエビは、背わたの有無とは別に、中心までしっかり加熱します。
エビの腹側にある線は背わたとは別
背中側の消化管とは別に、腹側へ細い線が見えることがあります。
甲殻類では腹側に神経索が走っており、背中の「背わた」と同じ消化管ではありません。
通常は背わたのように取り除く必要はありません。
見た目や料理上気になる場合を除き、そのまま調理できます。
加熱・保存で注意するポイント
加熱用の商品は中心まで加熱する
背わたを取り除いても、表面や身に付着した微生物まで除去できるわけではありません。
加熱用エビは中心部までしっかり加熱します。
FDAの目安は「身が真珠色・不透明」
FDAの家庭向け加熱表では、エビ・ロブスター・カニは身が真珠色で不透明になることを加熱の目安としています。
厚みのある大型エビや量が多い料理では、一部だけ透明な生の部分が残っていないか確認します。
「生食用」と「加熱用」を取り違えない
新鮮そうに見えるかどうかではなく、商品に表示された用途を確認します。
加熱用エビを自己判断で刺身・半生料理へ使いません。

購入・保存・解凍のポイント
購入後は低温を保つ
生エビや解凍エビは、購入後に常温へ長く置かず、できるだけ早く冷蔵庫へ入れます。
移動時間が長い場合は、保冷バッグや保冷剤を利用します。
酸っぱい・アンモニア臭がするものは食べない
FDAは、傷んだ魚介類では酸っぱいにおい、腐敗臭、強い生臭さ、アンモニア臭が出ることがあると案内しています。
加熱するとにおいが強くなる場合もあります。異臭があるエビは、洗ったり加熱したりして食べずに処分します。
魚介類の表面状態は「魚の皮は食べられる?うろこ・ぬめりの違い」も参考になります。
冷凍エビは冷蔵庫で解凍する
冷凍エビは、冷蔵庫へ移してゆっくり解凍します。
急ぐ場合は、密閉袋へ入れて冷水へ浸すか、解凍後すぐ加熱する条件で電子レンジの解凍機能を使います。室温へ長時間放置しません。
魚介類を加熱しても残る色の変化は「エビ・カニはなぜ加熱すると赤くなる?」で解説しています。
生のエビを触った器具を分ける
生のエビを扱った包丁、まな板、ボウル、トングを、そのまま加熱済み食品や生野菜へ使わないでください。
使用後は洗剤と温水でよく洗い、手も石けんで洗います。
よくある疑問
エビの背わたは何ですか?
エビの消化管です。血管ではありません。中に餌や砂などが残っていると黒く見えます。
背わたを食べても大丈夫ですか?
十分に加熱する場合、背わたを残しただけで直ちに危険になるとは限りません。ただし、太く濃い場合は砂っぽい食感や苦みが出ることがあるため、取り除くのがおすすめです。
背わたが黒くないエビは取らなくてよいですか?
透明で目立たず、加熱料理に使う場合は、無理に深く切って探す必要はありません。料理の見た目と食感に合わせて判断できます。
小エビも一匹ずつ背わたを取りますか?
背わたが濃く目立つ場合は取ると口当たりが整います。小さく透明で、かき揚げや炒め物などへ使う場合は、残したまま調理することもあります。
殻付きのエビも背わたを取れますか?
殻の節の間から竹串を入れ、背わたを持ち上げて引き抜けます。身が傷つきそうな場合や、背わたが細く目立たない場合は無理に取りません。

まとめ
- エビの背わたは血管ではなく消化管
- 中に餌や砂などが残ると黒色や茶色に見える
- 十分に加熱する場合、背わた除去が安全性のため絶対必要とは限らない
- 太く濃い背わたは、じゃりっとした食感や苦みの原因になることがある
- 大きなエビや見た目を整えたい料理では取るのがおすすめ
- 透明で目立たない小エビは、料理に合わせて残すこともできる
- 殻なしは浅く切るか竹串、殻付きは節の間から竹串で取る
- 背わたの有無とは別に、加熱用のエビは中心まで白く不透明になるまで加熱する
- 異臭、強いぬめり、変色があるエビは食べない
エビの背わたは、名前から血管のように思われますが、実際には消化管です。
安全性だけで一律に判断するのではなく、背わたの太さや色、料理の見た目、食感で取るか残すかを決めましょう。
加熱用のエビは、背わたを取った場合も取らない場合も、中心まで十分に火を通すことが大切です。
参考・確認先
編集・確認:食のハッケン帳編集部
情報確認日:2026年9月1日
この記事の確認について
エビの背わたが血管ではなく消化管であること、除去は主に砂・内容物による食感や見た目の改善目的であり、適切に加熱したエビでは背わたの有無自体が安全性の決定要因ではないこと、加熱用エビは中心まで十分に加熱することを確認しています。
- N.C. Cooperative Extension「Shrimp Questions Answered」
- Kikkoman Corporation「Shrimp, prawns – deveining」
- FDA「Safe Minimum Internal Temperatures」
- FDA「Selecting and Serving Fresh and Frozen Seafood Safely」
- 農林水産省「家庭における食中毒予防」
※背わたを取ることは加熱の代わりになりません。また、腹側の線は背わたとは別の構造です。












