しょうゆ売り場には、濃口しょうゆ、薄口しょうゆ、たまりしょうゆ、白しょうゆなど、色や名前の異なる商品が並んでいます。
どれも発酵調味料のしょうゆですが、原料の配合、製法、色、香り、うま味、塩分の傾向は同じではありません。
特に誤解されやすいのが、薄口しょうゆの「薄い」という言葉です。
薄口は味や塩分が薄いという意味ではなく、料理へ付く色が淡いことを表します。
一般的な商品では、濃口しょうゆより食塩分がやや高い傾向があります。
この記事では、濃口・薄口・たまり・白しょうゆの違いを比較し、原料と製法、料理別の使い分け、代用するときの調整方法、塩分表示と保存方法まで分かりやすく解説します。
しょうゆはJASで「こいくち・うすくち・たまり・さいしこみ・しろ」の5種類に分けられます。
料理の色を残したいならうすくち・しろ、濃厚なうま味ならたまり・さいしこみ、幅広く使うならこいくちが基本です。
「うすくち=塩分が少ない」ではありません。
一般にうすくちは、色を淡く保つ製法のため、こいくちより食塩分が高い商品も多くあります。
しょうゆ5種類の違いを一覧で比較
濃口、薄口、たまり、白しょうゆは、それぞれ色、原料配合、香り、うま味、向く料理が異なります。

| 種類 | 色 | 味・香りの特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 濃口しょうゆ | 赤褐色 | 香り・塩味・うま味のバランスがよい | つけ・かけ、煮物、炒め物、照り焼き |
| 薄口しょうゆ | 淡い赤橙色 | 色は淡いが、塩味はしっかりしている | 吸い物、茶碗蒸し、炊き合わせ、うどんつゆ |
| たまりしょうゆ | 濃い赤褐色 | 濃厚なうま味、独特の香り、とろみ | 刺身、寿司、照り焼き、たれ、せんべい |
| 白しょうゆ | 琥珀色に近い非常に淡い色 | 小麦由来の香りと甘みを感じやすい | 吸い物、卵料理、白身魚、色を付けたくない煮物 |
しょうゆの分類は本来5種類です
日本農林規格では、しょうゆを「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5種類に分類しています。
この記事では、家庭で比較されることが多い4種類を中心に解説し、再仕込みしょうゆは後半で補足します。
濃口しょうゆとは
濃口しょうゆは、日本で最も広く使われている一般的なしょうゆです。大豆と小麦をおおむね同程度使い、食塩水とともに発酵・熟成させます。
色、香り、塩味、酸味、うま味のバランスがよく、卓上しょうゆから煮物、炒め物、下味まで幅広く使えるのが特徴です。
濃口しょうゆに向く料理
- 冷奴、刺身、焼き魚などのつけ・かけしょうゆ
- 肉じゃが、筑前煮、魚の煮付け
- 照り焼き、しょうが焼き
- チャーハン、野菜炒め
- 炊き込みご飯
料理へしょうゆの色と香ばしい風味を付けたい場合に使いやすく、一本だけ常備するなら濃口しょうゆが基本になります。
加熱で香ばしい香りが立つ
濃口しょうゆを鍋肌へ加えて加熱すると、しょうゆ中の糖とアミノ酸などが反応し、香ばしい風味が生まれます。
ただし、強火で長く焦がすと苦味が出るため、炒め物では仕上げ近くに加えるなど、香りを生かすタイミングを調整します。
薄口しょうゆとは
薄口しょうゆは、濃口しょうゆと同様に大豆と小麦を主原料としますが、色を淡く仕上げるため、食塩を多めに使い、発酵・熟成中の色の進行を抑える製法が取られます。
料理の素材色を残しながら、しょうゆの塩味とうま味を加えられるため、関西を中心に発達したしょうゆです。「淡口しょうゆ」と表記されることもあります。

薄口しょうゆは塩分が低い?
薄口しょうゆは色が淡いため、「味も塩分も薄い」と誤解されやすいしょうゆです。
一般的な目安では、濃口しょうゆの食塩分が約16%、薄口しょうゆが約18%とされ、薄口のほうがやや高い傾向があります。
ただし、減塩商品を含め、実際の食塩相当量は商品によって異なります。
薄口しょうゆと減塩しょうゆは別物です
薄口は色の淡さを表す種類名です。塩分を控えたい場合は、「減塩」などの表示と栄養成分表示の食塩相当量を確認してください。
薄口しょうゆに向く料理
- お吸い物
- 茶碗蒸し
- 炊き合わせ
- だし巻き卵
- うどんつゆ
- 淡い色に仕上げたい炊き込みご飯
色を付けたくないからと多量に加えると、料理が塩辛くなることがあります。だしを効かせ、薄口しょうゆは少量ずつ加えて味を確認します。
たまりしょうゆとは
たまりしょうゆは、大豆を主原料とし、小麦を少量使うか、商品によっては使わずに造られるしょうゆです。中部地方を中心に発達しました。
大豆由来のうま味が濃く、とろりとした質感、濃い色、独特の香りが特徴です。加熱すると赤みを帯びた美しい照りが出やすく、照り焼きやせんべいにも使われます。
たまりしょうゆに向く料理
- 刺身、寿司
- 照り焼き、蒲焼き
- 焼きおにぎり
- せんべい、あられ
- 濃厚なたれ、煮詰めだれ
濃口しょうゆより味と色の存在感が強い商品が多いため、代用するときは少量から加えます。
たまりなら小麦不使用とは限らない
しょうゆ情報センターによると、たまりは大豆を主原料としますが、小麦を使う製品もあります。
小麦アレルギーやグルテンを避ける目的では「たまり」という種類名だけで判断せず、必ず原材料表示を確認します。
たまりしょうゆは大豆の割合が高いものの、小麦を使う商品もあります。
小麦アレルギーやグルテンを避ける必要がある場合は、「たまり」という名称だけで判断せず、原材料名とアレルゲン表示を商品ごとに確認してください。
白しょうゆとは
白しょうゆは、小麦を主原料とし、大豆を少量使って造るしょうゆです。愛知県の碧南地域などで発達しました。
発酵・熟成期間を調整して着色を抑えるため、しょうゆの中で最も色が淡く、小麦由来の穏やかな香りと甘みを感じやすいのが特徴です。
白しょうゆに向く料理
- お吸い物
- 茶碗蒸し、卵焼き
- 白身魚や鶏肉の淡い煮物
- 野菜の色を残した炊き合わせ
- 色を付けたくない麺つゆ
淡い色でも塩味はしっかりしている商品が多いため、見た目だけで量を増やさないようにします。
白しょうゆと白だしは違う
白しょうゆは、しょうゆの一種類です。一方、白だしは、白しょうゆや薄口しょうゆなどへ、だし、みりん、糖類、食塩などを合わせた調味料です。
白だしは商品ごとに濃縮倍率や味付けが異なるため、白しょうゆと同じ量で置き換えることはできません。
原料と製法で何が変わる?
しょうゆは、基本的に大豆、小麦、食塩を主原料にし、麹菌の働きで発酵・熟成させて造ります。

大豆はうま味のもとになる
大豆のたんぱく質は、麹菌や酵母などの働きによって分解され、アミノ酸になります。
たまりしょうゆで濃厚なうま味を感じやすいのは、大豆の使用割合が高いことと関係しています。
小麦は香りと甘みに関わる
小麦のでん粉は発酵中に糖へ分解され、香りや甘みの形成へ関わります。
白しょうゆは小麦の割合が高いため、小麦由来の穏やかな香りと甘みが特徴になります。
発酵・熟成で色と香りが深まる
もろみを発酵・熟成させる間に、アミノ酸、有機酸、糖、香気成分などが生まれます。
熟成が進むと一般に色も濃くなりやすいため、薄口しょうゆや白しょうゆでは、色を淡く保つための原料配合や製法が取られます。
再仕込みしょうゆとは
再仕込みしょうゆは、通常のしょうゆが食塩水でもろみを仕込むのに対し、食塩水の代わりに生揚げしょうゆを使ってもう一度仕込むため、この名前があります。
色・味・香りが濃厚で、つけ・かけ用途に向くタイプです。
日本農林規格で定められた5種類のうち、この記事でまだ触れていないのが再仕込みしょうゆです。
通常のしょうゆは、しょうゆ麹へ食塩水を加えて仕込みます。再仕込みしょうゆは、食塩水の代わりに生揚げしょうゆなどを使って再び仕込むため、色・味・香りが濃厚になります。
再仕込みしょうゆに向く料理
- 刺身、寿司
- 冷奴
- 濃厚なたれ
- 煮詰めずにコクを加えたい料理
商品によっては「甘露しょうゆ」と呼ばれることもあります。たまりしょうゆと同様に濃厚ですが、原料配合と仕込み方法は異なります。
料理別の使い分け
しょうゆを選ぶときは、料理へどの程度の色を付けたいか、香りとコクをどこまで出したいかを考えると分かりやすくなります。

| 料理 | 使いやすいしょうゆ | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 普段の煮物 | 濃口 | 色・香り・うま味のバランスがよい |
| 吸い物・茶碗蒸し | 薄口、白 | 素材やだしの色を残しやすい |
| 刺身・寿司 | 濃口、たまり、再仕込み | 魚に合わせて香りとコクを選べる |
| 照り焼き・蒲焼き | 濃口、たまり | 色と照り、濃厚な味を付けやすい |
| 卵焼き | 薄口、白 | 卵の黄色を生かしやすい |
| 炒め物 | 濃口 | 加熱時に香ばしい香りを出しやすい |
| 白身魚・淡色野菜の煮物 | 薄口、白 | 素材の色を濃くしにくい |
刺身にはどのしょうゆが合う?
淡白な白身魚には濃口や再仕込みを少量、脂の多い魚や赤身魚にはたまりしょうゆの濃厚さが合うことがあります。
ただし、好みや地域差も大きいため、塩味と香りの強さを見ながら選びます。
煮物では色と塩味の両方を見る
薄口しょうゆへ替えると色は淡くなりますが、同じ量では塩味が強くなる場合があります。
薄口しょうゆを使うときは、だしを効かせ、しょうゆの量を控えめから調整します。
濃口と薄口は代用できる?
多くの料理で代用できますが、色と塩分の傾向が異なるため、同量置換では仕上がりが変わります。
| 置き換え | 起こりやすい変化 | 調整方法 |
|---|---|---|
| 濃口から薄口へ | 色は淡く、塩味は強くなりやすい | 少なめから加え、だしや水分で調整する |
| 薄口から濃口へ | 色と香りが濃くなりやすい | 少量から加え、料理の色を確認する |
| 濃口からたまりへ | うま味・色・とろみが強くなる | 少量から加え、必要に応じてだしでのばす |
| 薄口から白しょうゆへ | さらに色が淡く、香りの印象が変わる | 商品ごとの塩分を確認して調整する |
固定の換算比だけに頼らない
しょうゆの食塩相当量、甘み、うま味は商品ごとに異なります。レシピの量を一度に入れず、味を見ながら調整してください。
減塩しょうゆ・うす塩しょうゆとの違い
薄口しょうゆは、色が淡いしょうゆの種類です。減塩しょうゆやうす塩しょうゆは、食塩分を通常品より減らした商品を表します。
同じ「薄い」という印象でも、意味は異なります。
| 表示 | 意味 | 確認する項目 |
|---|---|---|
| 薄口・淡口 | 色が淡いしょうゆの種類 | 食塩相当量、用途 |
| 減塩 | 基準に基づき食塩分を減らした商品 | 栄養成分表示 |
| うす塩・塩分控えめ | 通常品より食塩分を抑えた商品 | 比較対象と食塩相当量 |
塩分を控えたい場合は、商品名だけではなく、栄養成分表示の「食塩相当量」を同じ量で比較します。
しょうゆを選ぶときの確認ポイントと保存方法
同じ種類のしょうゆでも、原料、製法、熟成期間、食塩分、甘み、容器によって味は異なります。
種類名
まず、こいくち、うすくち、たまり、さいしこみ、しろのどれに当たるかを確認します。
原材料名
大豆、小麦、食塩のほか、脱脂加工大豆、糖類、アルコール、調味料などが使われている場合があります。
たまりしょうゆでも小麦を含む商品があり、白しょうゆは小麦を多く使うため、アレルギーがある場合は必ず表示を確認します。
栄養成分表示
食塩相当量を比較するときは、「大さじ1杯当たり」「15ml当たり」「100ml当たり」など、表示単位をそろえます。
製造方式
商品によって、本醸造方式、混合醸造方式、混合方式などの表示があります。
本醸造方式は、麹を食塩水とともに発酵・熟成させて造る方法です。表示は優劣だけを示すものではなく、味や香りの特徴を知る手掛かりとして確認します。
容器
一般的なペットボトルやびんは、開栓後に空気へ触れると色と風味が変化しやすくなります。
空気が入りにくい密封ボトルは、開栓後も常温保存できる商品があります。保存方法と使用期間は、容器ではなく商品表示を優先してください。
開封後の保存方法
未開封のしょうゆは、直射日光と高温を避け、商品表示に従って保存します。
一般的なペットボトルやびんのしょうゆは、開栓すると空気に触れて酸化が進み、色が濃くなり、香りや味が変化します。開栓後はふたを閉めて冷蔵庫へ入れ、早めに使います。
密封ボトルは商品表示を確認する
二重構造などで空気の侵入を抑える密封容器では、開栓後も常温保存できる商品があります。
ただし、すべての密封容器が同じ期間保存できるわけではありません。パッケージに記載された保存方法と使用目安を守ります。
注ぎ口を清潔に保つ
注ぎ口へ食材、箸、手などが触れると、汚れや水分が入り、品質低下の原因になります。
注ぎ口へしょうゆが付着した場合は、清潔なペーパーで拭き、ふたをしっかり閉めます。
異常がある場合は使わない
- 強い異臭がある
- 著しい濁りや異物がある
- 容器が膨らんでいる
- 吹きこぼれや発泡がある
- 味や香りに明らかな異常がある
開栓後の色が少し濃くなっただけで直ちに腐敗とは限りませんが、風味は低下しています。異常を感じる場合は使用しないでください。
大容量を長く使うより、使い切れる量を選ぶ
開栓後の酸化を抑えるには、家庭の使用量に合う容量を選ぶことも有効です。
しょうゆ表面の白い膜・粒については「しょうゆの白い膜・つぶつぶはカビ?」で解説しています。
味噌の色と発酵の関係は「味噌の色はなぜ変わる?」も参考になります。
よくある疑問
薄口しょうゆは濃口しょうゆより減塩ですか?
減塩とは限りません。薄口の「薄い」は主に色を表し、一般的には濃口より食塩分がやや高い傾向があります。実際の塩分は栄養成分表示の食塩相当量を確認してください。
濃口しょうゆがないとき、薄口しょうゆで代用できますか?
多くの料理で代用できます。ただし、薄口しょうゆは色が淡く、塩味が強くなりやすいため、少なめから加えてください。料理の色と味を確認しながら調整します。
白しょうゆは白だしの代わりになりますか?
同じものではありません。白しょうゆはしょうゆの一種類で、白だしにはだし、糖類、みりん、食塩などが加えられています。置き換える場合は、だしと甘みを別に調整する必要があります。
たまりしょうゆは小麦アレルギーでも使えますか?
商品によります。たまりしょうゆでも小麦を使うことがあります。「たまり」という名称だけで判断せず、原材料名とアレルゲン表示を確認してください。
しょうゆの色が濃くなっても使えますか?
開栓後に空気へ触れると酸化によって色が濃くなることがあります。色の変化だけで直ちに腐敗とは限りませんが、香りや味は低下しています。異臭、著しい濁り、異物などがある場合は使わないでください。
まとめ
- しょうゆはJASで、こいくち・うすくち・たまり・さいしこみ・しろの5種類に分類される
- 普段使いに迷ったら、幅広い料理へ使える濃口しょうゆが基本
- 薄口しょうゆの「薄い」は色のことで、減塩を意味しない
- 薄口しょうゆは料理の色を淡く保ちたいときに向く
- たまりしょうゆは大豆の割合が高く、濃厚なうま味ととろみが特徴
- 白しょうゆは小麦の割合が高く、非常に淡い色と穏やかな香りが特徴
- 再仕込みしょうゆは、しょうゆを使って再び仕込み、濃厚な味へ仕上げる
- 濃口と薄口は代用できるが、同量置換では色と塩味が変わる
- 減塩しょうゆと薄口しょうゆは別の意味
- たまりしょうゆでも小麦を含む商品がある
- 開栓後の保存方法は、容器と商品表示に従う
しょうゆは、濃い・薄いという見た目だけでなく、原料配合、香り、うま味、塩分、料理へ付く色で選ぶと使い分けやすくなります。
毎日の万能用には濃口、淡い色を残すなら薄口や白、濃厚なコクを加えるならたまりを目安にしてください。
参考・確認先
編集・確認:食のハッケン帳編集部
情報確認日:2026年9月1日
この記事の確認について
JASでしょうゆがこいくち・うすくち・たまり・さいしこみ・しろの5種類に分類されること、うすくちは色が淡くても一般に塩分が低いわけではないこと、たまりでも小麦を使う商品があること、再仕込みは食塩水の代わりに生揚げしょうゆで仕込むことを確認しています。












